受託者責任は英米法のトラストを起源とする理念で、資産運用に関連する人はおしなべて、顧客や受益者のために責任を果たすことが求めれらている。資産運用に関連する広い範囲のものを含む概念であると理解しておくことが重要。
言い換えると、受託者責任とは、受託者に生ずる責任であり、受託者は、年金の加入者や個人投資家などの受益者から信任を得て大切なお金の運用を任されているので、信じて託されたことに応える責任。主に、善管注意義務と忠実義務が中心である。
受託者とは、年金、投資信託の運営や運用に携わる立場にある人を言う。
スチュワードシップ・コード
…2014年に策定、2017年に改定された機関投資家の行動規範。日本版は、有用となる7つの原則を規定している。
英国の中世において荘園領地を管理することをスチュワード、その責任をスチュワードシップと呼んだことに由来する。投資においては、管理者の心がけを意味し、預かった資産をよりよい状態で長期的に持って運営する意味で用いられる。
コーポレートガバナンス・コード
…2015年に策定、2018年に改定された上場会社の行動原則。5つの基本原則。
本来の目的は、企業を適正に経営し、健全な発展を図るもの。
顧客本位の業務運営
…2017年に公表された金融機関の金融商品販売におけるフィデューシャリー・デューティ(他者の信任に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広い役割・責任の総称)を実践する際の考え方。7つの原則。
2014年、金融庁による「平成26事務年度金融モニタリング基本方針」の中で、フィデューシャリー・デューティが示され、その翌年に、顧客本位の業務運営に関する原則が公表された。
コンプライ・オア・エクスプレイン
…原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するかの手法
株価の動き=α部分(固有の動き)+β部分(属している市場全体の動き)
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人…公的年金を運用している)
CalPERS(カルパース:カリフォルニア州職員退職金年金基金…海外の年金基金で最も注目されている)
ゴール・ベースド・アプローチ
…資産形成における最終到達点の目標を定め、そこから逆算して投資を考える手法。
シャープ・レシオ=(リターンー無リスク金利)/リスク
…ポートフォリオを評価する場合に、最も多く用いられる物差し
インフォメーション・レシオ
=(金融商品のリターンー運用目標のリターン)
/金融商品の運用目標に対するリスク
…運用力を測る指標
伝統的資産…株式や債券
代替(オルタナティブ)資産…株式や債券とはリスク・リターンの特性が異なるもの、もしくは、新たな投資対象に受け入れられたもの。代表的なものは、不動産投資信託(リート)、ヘッジファンドなど。
債券の発行体の信用力による分類
国債…国が発行する
政府関連機関債(ソブリン債とも言う)、地方債…政府系機関が発行する
社債…一般の企業が発行する
信用格付けから見た投資対象の分類
投資適格債…債務不履行(デフォルト)のリスクが低く、一定以上の信用格付けを有する債券。一般的には、格付け会社からBBB格以上の格付けが付与されている債券。
ハイイールド債券(高金利債券)…信用力が低く、倒産確率は高いけれども、それに応じて高い金利が得られる債券。
債券の種類による分類
資産担保証券(MBSやABS)…住宅ローン債権などの担保を裏付けとした債券(一般的な債権は発行体の信用に基づいて無担保で発行される)
返済の優先順位による違いがあり、通常の債権をシニア債と呼ぶが、金利は高いけれど元本および利息の支払い順位の低い債券を劣後債という。劣後債は、一定の制限のもとで金融規制上の自己資本として計上できることから、金融機関の資本増強策として利用されることがある。
クーポン…債券に投資することにより将来得られる金利利息の事。
デュレーション…債券に投資されたお金の平均回収期間。キャッシュフローの観点から、債券のクーポン金利と元本が実質的に何年後に戻ってくるかを示したもの。
株価収益率(PER)=株価/1株当たり(予想)利益
…株価と利益水準の比率を見たもの。株価が何年分の利益に相当するかを示したもの。
株価純資産倍率(PBR:Price Book-value Ratio)=株価/1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)
…株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純資産の何倍の値段がつけられているかを見る投資尺度。この指標は、現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安に利用される。株価純資産倍率の数値が低いほうが割安と判断される。
株主資本利益率(ROE:Return On Equity)=当期純利益/株主資本
=(売上高利益率(%):利益/売上高)
x(総資本回転率(回):売上高/総資産)
x(財務レバレッジ(倍):総資産/株主資本)
=(利益/総資産)x(総資産/株主資本)
=(株価純資産倍率:株価/1株当たり純資産)x(株価収益率:株価/1株当たり(予想)利益)
…株主が拠出した自己資本を用いてどれだけの利益を上げたのか、経営の効率性を示すもの。基準の考え方は、2014年に公表された経済産業省のプロジェクトの最終報告書、通称「伊藤レポート」の中で、企業と投資家がともに持続的な企業価値の向上を目指すこととともに、「8%を上回る株主資本利益率を最低ライン」と数値目標を掲げました。
コモディティ(商品)の特徴
…取引対象が多く、全体的にインフレに連動しやすい資産
①対象…貴金属、工業資源、エネルギー、穀物・食料
②メリット…相関が低い、インフレに連動
③取引方法…先物取引、現物取引、関連株式
④取引対象…流動性のある代表的資産(金など)、全体をまとめた指数
⑤取引相手…専門の運用会社、ヘッジファンド経由
代替(オルタナティブ)投資の代表格・ヘッジファンド
…リスクを抑えて絶対的なリターンを目指す投資手法。伝統的な資産との相関が低い。
①特徴 ・株式・債券などの伝統的資産にも投資
・絶対収益型の運用スタイル
・借り入れ(レバレッジ)によるリターン追求
・運用実績による報酬体系を採用
②メリット・注意点 ・絶対収益型で、株式などとの相関が低い
・価格下落に抵抗力がある
・ファンドによってリターンの差が大きい
・市場が堅調な時は、リターンに見劣り
デリバティブ…株式、債券、金利などの原資産の価格を基準に価値が決まる金融派生商品の総称。
・多種多様な取引がある。
①先物取引…原資産について将来に売買を行うことをあらかじめ約束する取引
②オプション取引…将来に売買する権利をあらかじめ売買する取引
③TRS(Total Return Swap:トータルリターン・スワップ)…株式や債券などの市場の動きに応じたリターンを商品に反映させる取引
など
・特徴
①多様性…多様なリターン獲得、リスクのコントロール手法
②利便性…少額の証拠金で取引可能
③流動性…活発な取引市場
ETF(Exchange Traded Funds)…証券取引所に上場し、TOPIX(東証株価指数)などに代表される指標への連動を目指す上場投資信託。1990年にカナダのトロント証券取引所に上場したのが世界初のETFと言われている。
・メリット
①取引のしやすさ
②低コスト
③商品の透明性
ラップアカウント…投資一任契約に基づき、お金の運用を任せる取引。運用の専門家が、運用方法や金融商品の選択、管理を行う。
・ラップアカウントによる運用
①Plan…運用意向の診断、方針の決定
②Do…方針に則った運用の実行
③Check…運用結果の分析、報告
④Answer…運用結果による方針の見直し